So-net無料ブログ作成
検索選択
前の20件 | -

TOKYO ART CITY [アート]

東京ドームシティのギャラリーAaMoで開かれている「TOKYO ART CITY」に行った。都市とはアートである、というコンセプトで東京の今を光によって表現。熱中症になりそうな猛暑を逃れ、涼しいデジタルアートの世界に浸った。

IMG_0982.JPG

新宿の歌舞伎町。ゴジラがいて、けばけばしいネオンがまたたく。エネルギーあふれる街。雑多なものが混ざり合ったTOKYOの象徴ともいえる。建造物やサイネージ、集まる人さえ、都市を彩るアート。そんなメッセージと受け取った。


以前東京駅の丸の内側駅舎で行ったが、大変な人出で中止になってしまったプロジェクションマッピングをミニチュアの駅舎で上映していた。東京国立博物館でのマッピングもやっていたが、やはり屋外でやってこそ、スケール感があり感動があるのではないか。室内展示の限界を感じた。


ロボットのようなコスチュームの「サムライズ」が、SF世界のガイド役のように会場でパフォーマンス、記念撮影にも応じてくれる。東京タワーから眺める、星降る都心のビル群。暑さを忘れさせてくれるアートイベントといえるかも。


IMG_0966.JPG

近くの文京シビックセンターでは、本郷旅館街展をやっていた。かつて本郷地区には、100軒以上の旅館が軒を連ねた。昨年、朝陽館がなくなり、残るのは東大近くのわずかな何軒かのみ。朝陽館の模型や、使っていた備品などが展示されていた。いま一帯はマンションが建ち並び、かつての面影はない。「東京」から「TOKYO CITY」へ。時代の移ろいを考えた一日だった。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

寝盗られ宗介 [シネマ&演劇]

北区AKT STAGEによる、つかこうへい作「寝盗られ宗介」を北区王子の北とぴあつつじホールで観た。錦織一清演出。旅回りの劇団の物語で、劇中劇がシンクロしながら、話が進む。

IMG_0962.JPG

例によって、つか芝居の主人公はカッコいい。そして、熱く、わがままである。座長と看板女優。貧乏しながらも、生活のすべてを芝居に注ぐ。不器用で屈折した男の愛情表現。時に女はそんな愛のかたちに不安を感じてしまう。


昭和歌謡「お嫁サンバ」や、EXSILEのナンバーで、雰囲気を盛り上げながら、クライマックスへ。2キャストあって、観たのは「白菊」組のステージ。「女心も救えないで、なんで日本が救えよう」。その通りだと思うけれど、ね。

IMG_0963.JPG

会場の北とぴあ前で、長崎にある平和祈念像のミニチュア像を発見。なぜ?と思って銘板を見ると、作者の北村西望氏が名誉区民なんだとか。非核都市宣言にあわせて建立されたという。

nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

國學院大学博物館 [アート]

IMG_0960.JPG

渋谷で仕事があり、近くの國學院大學博物館を覗いてみた。キャンパス内の神社を参拝後、向かいの学術メディアセンター地下1階にある博物館(入場無料)へ。

樋口清之さんがいた大学というぐらいしか認識はなかったが、大学の名前である国学の歴史(久しぶりに本居宣長、平田篤胤といった人たちの名前を見た)や考古学の資料が結構な規模で展示されていて感心した。

特別展として高円宮家所蔵の根付コレクションもやっていた。根付は印籠や巾着、煙草入れ、矢立などの提げ物を帯から吊す時に使う、滑り止めの道具。江戸独特の美的感覚が育て上げた「掌におさまる美術品」といわれる。そこだけは撮影OKで、人や動物など多様な意匠の根付が並んでいた。

IMG_0958.JPG

福岡の西南学院大博物館と提携していて、展示フロアには西南コーナーがあった。神道とキリスト教の大学が提携しているのは、ちょっと興味深い。神に祈る真摯な気持ちは洋の東西を問わないということかしら。


nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

パラミタミュージアム [アート]

IMG_0942.JPG

三重県菰野町のパラミタミュージアムに行った。パラミタは、梵語の波羅蜜多(はらみった)に由来。迷いの世界である現実世界の此岸から、悟りの境地である涅槃の彼岸に至るという意味で、芸術に触れてしばし現実から遊離するひとときを味わってほしいということらしい。

IMG_0945.JPG

目玉は、世界的版画家・池田満寿夫の般若心経シリーズ。仏の顔を浮き彫りにした陶芸のオブジェで、輪廻転生を表現した。版画では日本的な要素を廃したが、晩年のこの作品群では仏教芸術によって日本のこころに回帰したという。

IMG_0949.JPG


展示は江里佐代子の工芸や、田村能里子の絵画などがあり、仏教にこだわっているわけではない。しかし、ちょうど開催されていた棟方志功の作品展や、中村晋也の釈迦十大弟子など、仏教テイストの作品が印象に残った。自動で動くからくり人形の実演、緑あふれる庭園の散策路もすてきだった。

IMG_0952.JPG

近くの湯の山温泉は、泉質がよく人気の温泉地。かつて「男はつらいよ フーテンの寅」のロケがあった。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム [アート]

渋谷の松濤美術館で特別展をみた。スティーブンとティモシーのクエイ兄弟は一卵双生児ロンドンを拠点にアニメ映画制作、CM、舞台美術など、幅広い分野で活躍しているという。

IMG_0932.JPG


作品は、幻想的で陰鬱な感じだが、どこか哲学めいたビジョンが垣間見える。絵やポスター、アニメ撮影に使った人形や装置などが展示されていて、上映されている映像作品に最も惹きつけられた。人間の頭の中や、臓器を取り出したりする、魔術的な映像。しかし、CGのような即物的、リアルな描写ではなくて、紙や木といった素朴な材料で表現されているため、グロテスクさはない。

IMG_0933.JPG


「さほど不思議ではない国のアリス」といった、ユーモラスなタイトルもなかなか気に入った。日本では映像作家として一部に知られているだけらしいが、欧米では多彩な活動をしているという。ミニチュアでみたような、クエイ兄弟の舞台美術をぜひ一度見てみたい。

IMG_0934.JPG

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

TAP THE LAST SHOW [シネマ&演劇]

水谷豊の初監督&主演作品。20代のころからアイデアを温め、40年かかって実現したという。子役から始まり、「傷だらけの天使」でブレークし、「熱中時代」、「相棒」などテレビドラマを中心にヒット作をものにしてきた役者というイメージだっただけに、タップダンスというのは少し意外だった。


300人の若いダンサーオーディションで絞り、5人の若手メインキャストを選んだ。それはそのまま映画ストーリーと重なる。確かに選ばれただけあって、そのタップは超絶技巧。ラスト20分余のダンスは、アクロバティックな動きもあり、ショーアップされている。


でもナマのタップの舞台を観た経験からすると、やはりスクリーンでは物足りないというのが正直な感想。舞台での息づかい、歌声、演奏、観客の拍手があるから盛り上がるのだ。いつかナマの舞台で、「TAP THE LAST SHOW」を再演してほしい。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ベター・ハーフ [シネマ&演劇]

鴻上尚史作・演出で2年ぶりの再演を、下北沢・本多劇場で観た。風間俊介、中村中、片桐仁の再演組に、松井玲奈が新加入。テンポのいい、大人のラブコメといったところだが、しっかり完成された舞台だった。もちろん大いに笑い、ぐっと考えるところもあった。


鴻上さんによると、ベター・ハーフとは、ギリシャ時代に生まれた考え方で、天国で一つだった魂が現世で男と女の二つに分かれたと、プラトンも紹介している。現世で自分の魂の半分と出会う、それがベター・ハーフで、英語圏では夫婦や恋人のことを、ちょっとおしゃれにそう呼んだりする。


元SKEの松井は、デリヘル嬢役で「フェ×××」とか、「ス××」とか、エッチな言葉を大声で連発するシーンが続く。かつて清純路線で売っていた元アイドルに、あえて過激なセリフを言わせてみたい、そんな演出家の少しサディスティックな欲望を感じる。そのギャップに客席は大いに盛り上がったけれど。


かつてトランスジェンダーであることをカミングアウトして話題になった女優・シンガーの中村は、自身の経歴そのままの役。ピアノ弾き語りの歌声は、結構艶っぽくて、「サントワマミー」なんか絶品だった。片桐、風間のボケツッコミもバッチリで、はまり役。


作品の背景には、トランスジェンダーへの偏見や、貧困女子の実態などがあるが、心に残るのはベター・ハーフを探し求める男女4人の必死なまなざし。老若男女、だれが観ても「恋愛」というものがしたくなる。


IMG_0928.JPG

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

血花血縄 [シネマ&演劇]

第11回岸田理生アヴァンギャルドフェスティバルの企画として、こまばアゴラ劇場での公演をみた。平成緊縛官能奇譚というサブタイトルで、岸田が有沢美喜の名で出版した官能小説を初めて舞台化したという。赤い縄につながれた母親と娘たち。男や家に束縛された女の性、それからの解放をメッセージとして描く。


舞台の中央で片肌脱いだ能面をつけた女を、真っ赤な着物を着た女が縄で縛り、鞭打つ。それはまるで女たちの置かれた状況を象徴するように。ハララビハビコと北條華生、ともにSM界のプロ(らしい)が出演し、極限のエロスを表現する。前衛的な試みではあった。


父親役の高仲祐之の声はなかなか渋い。声優をしていると知り、なるほどと納得。ギターと二胡の生演奏、提灯の灯りも淫靡な暗い雰囲気を醸し出していたが、観客の半分を占めた女性は結構あっけらかんとしていて、隣りでガムをくちゃくちゃやりながら観劇されたのには少々参った。

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

腰巻おぼろ 妖鯨篇 [シネマ&演劇]

新宿梁山泊の創立30周年記念公演第2弾「腰巻おぼろ 妖鯨篇」を新宿・花園神社で観た。唐十郎が1975年、上野不忍池の紅テントで演じて以来、42年ぶりの再演。分厚い台本でふつうに演じると4時間超になるのを、演出の金守珍がぎゅっと圧縮して3幕にしたという。それでも公演は10分休憩2回をはさみ約3時間、靖国通りの喧噪が時折聞こえてくる紫テントの中で、濃密な情念の世界が繰り広げられた。

 

赤い腰巻のおぼろ・水嶋カンナ、ガマという名の少年・申大樹、千里眼の大鶴義丹、サメ肌の大久保鷹。異様で滑稽で、どこか哀しい人物たちが次々と登場する。今回は大時代なタンスが、場面転換のどこでもドア。星座、星占い、捕鯨船、ピノキオ株式市場と、イメージの連鎖は続く。

 

初演で千里眼を演じたのはもちろん唐十郎。長男の大鶴が今回、同じ役を演じ、「現代の歌舞伎のような」一子相伝の芸となった、とは終演後の金のあいさつの弁。宇野亞喜良の美術は相変わらず作品世界にぴったり、むしろ美術からイメージが喚起されているともいえる。

 

IMG_0908.JPG


nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

美しい星 [読書日記]

読んでから見るか、見てから読むか。このほど映画化された三島由紀夫の「美しい星」はまず読んでから見ることにした。

 

平凡な家族がある日突然、宇宙人であることを自覚する。あの三島が昭和30年代にこんなSF作品を残していたことに驚いた。当時、世界的話題になった空飛ぶ円盤、マンテル大尉事件や米国・ソ連の核実験など、実際のニュース・世相にビビットに反応している。宇宙人や円盤(UFO)は当時、いかがわしいものとの見方がある一方で、わが国最初の全国的UFO研究団体「日本空飛ぶ円盤協会」が設立され、三島はじめ石原慎太郎や星新一、糸川英夫ら著名文化人が会員として名を連ねている。そうした時代背景を考えれば、時代の先端をいく三島が、宇宙人やUFOをテーマに小説を書いたとしても不思議はない。実際、その文明批判、深い味わいは、現代作家に例えれば筒井康隆の作品のようだ。

 

思想小説ともいわれる作品には、人類の未来について、多くの警句的文言がちりばめられている。「来るべき核戦争は集団の憎悪によって起こるよりは、そんなものと関係のない個人の気まぐれな錯乱や不幸な偶然から起こるだろう」「地球なる一惑星に住める人間なる一種族ここに眠る。彼らはなかなか芸術家であった。彼らは喜悦と悲嘆に同じ象徴を用いた。彼らは他の自由を剥奪して、それによって辛うじて自分の自由を相対的に確認した。彼らは時間を征服しえず、その代わりにせめて時間に不忠実であろうと試みた。そして時には、彼らは虚無をしばらく自分の息で吹き飛ばす術を知っていた」

 

試写を見た同僚によると、映画はわかりにくかったとか。「読んでから見る」のが正解かも。

 

美しい星 (新潮文庫)

美しい星 (新潮文庫)


nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

HANGA JUNGLE展 [アート]

アーティスト横尾忠則さんの「HANGA」作品をみるため、町田市立国際版画美術館に行った。版画の枠を超えた作品群なのでHANGAなんだとか。約250点、横尾さん独特のサイケデリックな作品が並ぶ。


なぜ横尾さんの作品かというと、寺山修司の天井桟敷や唐十郎の状況劇場のポスターに惹かれたから。あのポスターたちは、実は当時、横尾作品の最も適切な発表の場だったという。芝居のストーリーや出演者の情報を入れて、どんなHANGAポスターにまとめるか、納品は公演ぎりぎりになることがしばしばだったらしい。


インドやヒッピーセックスアピール。かつての60、70年代のカルチャーが、アーティストのアタマの中でまざり、多様な意匠となって表現される。少年のころに夢中になったターザンや21面相なども作品にはしばしば登場する。


会場の国際版画美術館は緑あふれる芹ケ谷公園の一角にあり、休日には親子連れが弁当を広げたり、水遊びに興じたりする憩いのスポット


IMG_0900.JPG



nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

セールスマン [シネマ&演劇]

イランの名匠といわれるアスガー・ファルハディ監督作。本年度アカデミー賞外国映画賞を受賞したが、トランプ米大統領のイスラム圏からの入国制限措置に抗議し、授賞式ボイコットしたことで話題になった。


主演女優のタラネ・アリドゥスティが来日、会見したが、なかなかエキゾチックな感じのペルシャ美人。昔から親日的な国というイメージもあり、コメントも好感が持てた。


舞台は首都テヘラン。女性がブルカを着けてなければ、欧米と変わらない都会的な街の雰囲気。主人公の夫婦もインテリで、小さな劇団で役者をしている都会人。ホメイニ師以来、シーア派が原理主義的な統治をしているというくらいの知識しかなかったこともあり、少し驚いた。


しかし、映画がテーマにしているのは、伝統的、宗教的な戒律の中で、抑圧される女性たち。経済的発展とともに社会に広がる矛盾、軋轢を、夫婦に生じた事件から描く。その心理の揺れ動きは、なるほどと思わせる。


イランの映画は、文化情報省が脚本段階と、完成作品を「検閲」している。直接「暴行現場」を描かずに、登場人物のせりふや表情で展開していくという手法も、宗教的な規制をくぐり抜ける知恵なのだろうか。アーサー・ミラーの「セールスマンの死」が劇中で演じられており、監督はこの60年以上前のドラマに現代イラン社会が抱える問題を見いだしているという。


IMG_0902.JPG

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

電車は血で走る [シネマ&演劇]

「劇団鹿殺し」の電車二部作同時上演の初日を本多劇場でみた。劇団の心そのものが投影された作品と、演出の菜月チョビが言うように、劇団創設いらいの歩みをモチーフにしているらしい。


関西生まれの劇団だけに宝塚タイガースなど地域ネタが満載。よしもと新喜劇的な劇中劇があったりしたが、目立ったのはつかこうへいへのオマージュ。劇団が初期に公演した熱海殺人事件や蒲田行進曲のパロディが散りばめられていた。


ナマの楽団が行進し、ロック音楽ガンガン鳴る。にぎやかな舞台の一方で、列車事故(かつて関西で起きた大惨事を想起させる)で犠牲になった幼なじみとの友情がホロリとさせる。出演とボーカルもこなす菜月の声がなかなか魅力的だった。丸尾丸一郎も熱演。


IMG_0863.JPG



nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

時間の言語学 [読書日記]

瀬戸賢一さんの新書。メタファーから訓みとく、というサブタイトルどおり、未知の概念を既知の概念で表現する手法について、かなり専門的に語る。

ミヒャエル・エンデの「モモ」に出てくる時間泥棒。これこそ私たちが縛られている時間に関するメタファーの象徴であり、その呪縛から解放されねばならないと指摘する。

人の行動は結局、メタファーに縛られており、「時は金なり」という言葉が明治以来の日本人の時間認識を規定しているという。

そして、「時は金なり」に代わり、「時間は命」という新たなメタファーを提案している。言葉表現から考える時間論は知的刺激が楽しい。


時間の言語学: メタファーから読みとく (ちくま新書1246)

時間の言語学: メタファーから読みとく (ちくま新書1246)

  • 作者: 瀬戸 賢一
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/03/06
  • メディア: 新書

nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

永遠の道は曲りくねる [読書日記]

世界60数カ国を放浪したという宮内勝典さんの新作。その該博な知識と体験を散りばめ、戦争をやめることが出来ない人間の業を描いた。


こんな街、土地があったのかと思ったのは、まず、ベルギーのギール。精神病の人たちが巡礼としてやって来る街で、中世から一般家庭に下宿し、共に暮らしている。米ニューヨーク州の北部、カナダ国境近くには、イロコイ連邦があり、いわゆるインディアンの部族の独立自治領として存在する。ラグランジュ・ポイント、太陽と地球、月の引力がつりあうところ。知らなかった。


物語の主舞台の沖縄は幾度か訪ねたが、波照間島はじめ琉球弧の離島については初めて聞くことが多かった。とくに戦争や核兵器の話は、地理に照らし合わせた細かい歴史的事実について、何とあやふやな理解しかしてなかったことかと痛感した。


それにしても見て見ぬフリをする現実の何と多いことか。シャーマンの口から語られる、残酷な戦争の話。対極にある豊かな自然と生きる喜び。大きな世界観を提示した作品だった。


永遠の道は曲りくねる

永遠の道は曲りくねる

  • 作者: 宮内勝典
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 単行本

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

まつろわぬ民2017 [シネマ&演劇]

高円寺にて演劇集団風煉ダンスの公演初日をみる。上上颱風のボーカルだった白崎映美が主演のスエを演じた。歌がいい、衣装もいい、方言がいい、カッコいい。


坂上田村麻呂の蝦夷討伐いらい中央政府から異端、辺境の民として蔑視された歴史を持つ東北の民への思いがあふれる。原発事故汚染を想起させる廃棄物のヤマ。津波で流された家財道具。舞台装置も登場人物も、東北の3・11後をモチーフにしている。


復興と称して、古い町並みを壊し新たなショッピングモールをつくる。そんな中央資本の施策でいいのか。今の復興策を問うてもいる。いつか帰ってくる子孫を待つ避難区域の山河。トランスホームするゲーム世代キャラの土俗の鬼たちが故郷を守る。ユーモアを交えたつくりの中にキラリと光るせりふがある。ちゃんと一本筋の通った音楽劇、観てよかった。東京の後、福島山形でも公演するという。


IMG_0846.JPG



nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

ビンローの封印 [シネマ&演劇]

IMG_0840.JPG


久しぶりに雑司ヶ谷・鬼子母神の紅テントにて、唐組・第59回公演をみる。唐十郎作、久保井研、唐十郎演出。1992年の台北公演、その後の凱旋公演いらいの再演という。


ビンローとは、チャイニーズガムともいわれる、噛むと赤い汁が出る実。その赤い汁から連想、妄想が広がる。ビンロー、赤い血、戦争、海の向こう、船、台湾、偽ブランド品--。昭和歌謡(紙ふうせん、テレサ・テン)にのって、キラキラと輝くような言葉が次から次へと役者たちからあふれ出す。


暗転して開幕、途中休憩のときにも客席から拍手がわく。かけ声がかかる。立派なホールでの演劇では味わえない。芝居を見に来てるんだなあと実感する。あぐらがきつく尻が痛いのも、かえって舞台に集中するしかない状況を作り出しているのかもしれない。


アナログな大仕掛けでのエンディングはお約束。混迷の果てのカタルシスが観客を包む。出演者紹介とあいさつの後、舞台のそでではなく、舞台奥の闇、鬼子母神の境内へはけていく役者たち。あの光景が大好きだ。

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

誰も書けなかった「笑芸論」 [読書日記]

「人生は五分の真面目に、二分侠気、残り三分は茶目に暮らせよ」を座右の銘に生きてきたという、放送作家の高田文夫さんが、昭和から平成のコメディアン、落語家、芸人について、現場で見聞きしたエピソード満載で語る。


サブタイトルに「森繁久彌からビートたけしまで」とあるように、青島幸夫、渥美清、林家三平、立川談志、クレージーキャッツ、コント55号、ドリフターズらの話が次々と出てくる。昭和生まれのテレビっ子にとっては、もう懐かしいのなんの。


ツービートが世に出たとき、山藤章二さんは「漫才はフィクションからノンフィクションに変わった」と喝破したとか、たけしの「コマネチ」は由利徹の「オシャマンベ」のパクリであるとか、坂本九は当初、ドリフターズにボーカルでいたとか、ひょうきん族でたけちゃんマンの宿敵ブラックデビルの初代は高田純次で、風邪のため代役で出たさんまの「クェクェクェ」の方がうけたので選手交代したとか、まだまだお笑い好きにはたまらない小ネタがてんこ盛り。


大好きだったクレージーキャッツ。考えてみると、ジャズマン出身の彼らのリズム感、センスのよさ、カッコよさが子供心にも訴えるものがあったのか。あの大瀧詠一が大ファンだったことも知り、エンタメ界のいろんな人たちのつながりがよく分かる一冊でもあった。





nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:お笑い

トランスジェンダーの人々の社会の中での居場所 [雑感]

知人が企画に携わっていたので、明治大学駿河台キャンパスのグローバルフロントであった「多様性を考える日仏討論会」を聞きに行った。日本では性同一性障害という病名が先行し、性別転換を望む人たちへの社会の理解は進んでいないのが現状ということなどを知った。
パネリストは、渋谷区の同性パートナーシップ証明書発行に携わった活動家の杉山文野さん。ライターの畑野とまとさん、東大教授の安冨歩さん、仏の社会学者カリネ・エスピネイラさん。杉山さんは、フェンシングの元女子日本代表で、幼いころから自分の性に違和感を抱いていた。世界放浪しても性別から逃れることができなかったと、自己紹介で話した。乳房を切除しホルモン注射をうち、外見はもちろん話し方も男性だが、戸籍は女性だという。
安冨さんは、50歳くらいまでは普通の男性として生きてきた。女性服を着ると安らいだ経験から、男性として生きるのを拒絶した。その途端にメディアから脚光を浴び、それまでの研究も注目してもらえるようになった。性別転換はしていないが、トランスジェンダーの人々というくくりではなく、むしろトランスの人々を「変態」などと差別する側こそグルーピングするべきだと、価値観の転換を訴えた。
性同一性障害の性別の取り扱いの特例に関する法律http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO111.htmlに定められている性別変更の条件が障壁になっているという。男女という区別を超えて、多様性を認める寛容な世界を実現できないか。差別がはびこる世界へ向けて、地道に理想を訴え続けることが大事だと思った。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

セラピスト [読書日記]

最相葉月さんのドキュメンタリー。河合隼雄、中井久夫という心理学と精神医学大家の足跡をたどり、心の病の治療最前線を描く。


通常カウンセラーと患者という名称を使いがちだが、作品ではセラピストとクライエントと呼ぶ。

箱庭療法の良さは、言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できること。日本人は西洋のように物と心を区別しなかったから、心だけを採り上げて言葉にするのが苦手。言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できる箱庭は、日本人向きだという。
かつて多かった対人恐怖症はごくまれになり、その代わりに「引きこもり」が増えた。悩めない、悩みが何なのか分からない若者が増えていて、ただムカっとする、主体性が希薄なケースが多いという。時代とともに心の病も変わってきている。
セラピスト (新潮文庫 さ 53-7)

セラピスト (新潮文庫 さ 53-7)

  • 作者: 最相 葉月
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/09/28
  • メディア: 文庫

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の20件 | -