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「ケの美」展 [アート]

銀座のポーラミュージアム アネックスに「ケの美」展を見に行った。ハレ(晴れ)に対するケ。ふだん、日常という意味だが、ハレに比べると、最近はあまり使わない言葉。ふだんの暮らしの中に「美」を見いだす試みで、展覧会ディレクターの佐藤卓さんの呼びかけに、14人の著名人が展示参加している。


実物とパネルの展示で、それぞれの思いをつづった一文が掲げてある。話を聞いたり、本を読んだりして知っている人もいたが、知らない人の方が多かった。でも、台所回りの物や掃除・洗濯道具、文房具など、身の回りのもので、「これいいよね」と気に入ったものを見ると、だいたいどんな考えの人なのか、分かるものだ。


マルチクリエイターの小山薫堂さんは、魯山人の「坐辺師友」を座右の銘としてあげ、ものたちへの愛情を告白していた。展示していたのは、風呂の手桶で、わざわざ注文した代物。ちょっと一般人にはマネできないが、確かに格好はよかった。うらやましいなあ。料理研究家の土井善晴さんは、具だくさん味噌汁の写真が目を引いた。トースト入りの変わり味噌汁など、どれもうまそうで、感覚的には一番自分にぴたっと来た。隈研吾さん、小川糸さんの展示も印象的だった。入場無料。

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ちょっと、まってください [シネマ&演劇]

ナイロン100℃の新作を下北沢の本多劇場でみた。劇団主宰で作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチによると、一度やりたかった不条理喜劇だという。あえて意味を持たせるならば、戯画化された家族劇によって、家族っていったい何なのかを問うた一作といえるのかも。


不条理劇といえば以前、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」をみた。二人の男がひたすらゴドーを待ち続けるのだが、せりふの独特の「間」が印象に残っている。今作は日本の不条理劇の大家・別役実さんへのオマージュで、別役作品の引用や文体の模倣、様々なアイコンを散りばめたという。


残念ながら別役さんの舞台をみてないので、細かいパロディーは分からなかったが、不条理な設定や会話、そして独特の間には、つい笑ってしまった。五つの赤い風船「遠い世界に」、もとまろ「サルビアの花」。唐突に始まる懐かしき名曲の劇中歌が不条理な世界を際立たせていて、なかなかの選曲だったと思った。

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サンタクロース会議 [シネマ&演劇]

こまばアゴラ劇場で、平田オリザさん作・演出の子ども参加型演劇をみた。コミュニケーションの力をつけるというより、コミュニケーション嫌いにならないように、子どもたちへの演劇教育を実践している平田さんが10年前から続けている公演。舞台と客席の垣根を取り払い、子どもの意見に受け答えしながら物語は展開していく。


サンタがいるのか、いないのかを含めて、サンタにまつわる問題を議論する。平田さんによると、演劇はギリシャ時代、哲学や民主主義とともに始まった。日本の学校教育では道徳としてとりあげているテーマも含めて、哲学カフェのような感じで演劇を教育の場に持ち込みたいという。


公演は1時間程度で、子ども向けの内容かと思ってみたのだが、大人に向けて家庭での会話を促す狙いもあると分かった。サンタは空を飛べるの? いい子と悪い子はどう見分けるの? 舞台からの青年団の役者の質問に答える子どもたちの意見が素朴でつい微笑んでしまう。しこみではなく、アドリブで広がっていく舞台はある意味、演劇の本質かもしれないと思った。

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この熱き私の激情 [シネマ&演劇]

カナダで高級娼婦をしていたネリー・アルカンの小説「ピュタン-偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白」を舞台化。7人の女優・ダンサーが36年で自ら命を絶った彼女の人生を独白する。


舞台には2階建てのセットが組まれ、影の部屋、天空の部屋などと名付けられた個室で、時々の彼女を演じる。幻想の部屋の女を演じたのは、芦那すみれ。スリムなスタイルと、セクシーな動きが魅力的だった。後で確認すると、にっかつロマンポルノのリブートプロジェクトで行定勲監督「ジムノペディに乱れる」のヒロイン役で出ていた子だった。


天空の部屋の小島聖は貫禄の演技だったが、かつての輝きはなかったかな。影の部屋の女を演じた松雪泰子は、妖艶な色気にノックアウトされそう。部屋それぞれの演出も凝っていて、背景に吹雪が舞う部屋は印象に残った。天王洲銀河劇場にて。

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あゝ荒野 後編 [シネマ&演劇]

ボクシングの激しい打ち合い、つい手に汗握って熱くなってしまった。映画だと分かっていても、血潮が飛び顔が腫れる場面が続くと、迫力に圧倒される。因縁の相手、ユウジとの壮絶な試合。ケンジとの宿命の対決。憎しみを超えたシンジの闘争心むきだしのファイトがまぶしかった。


寺山修司が生きた戦後、昭和の時代。様々な問題が噴出している3・11後の日本に、寺山のつづった物語はどんなメッセージを発するのだろう。そんな興味で作品を見たが、結局「つながり」というのが一つのキーワードだった。友だち、親と子、人と社会、それぞれがつながりたがっていて、できないでいる。登場人物それぞれのこれから、未来は、不安の中にある。「荒野」を歩き続けるしかない。

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アウトレイジ最終章 [シネマ&演劇]

完結編ということで見に行った。「ビヨンド」ほどの衝撃はなく、ある程度想定されたラストではあった。タケシ演じるオオトモが次々と敵を討つ。問答無用の殺し方はドライで、陰湿さがない。テレビゲームのようにバンバン殺ってしまう。


今回も主な出演者は男ばかり。会話の中では「奥さん」が出てくるが、画面には男の相手をするホステスや風俗嬢くらいしか出てこない。女性や子どもが殺されるような場面がないから、カラっとした印象があるのかもしれない。


韓国の闇社会を仕切るボスの方が、情に厚く、義を重んじる。勢力争いに血道をあげ、裏切りを繰り返す日本のヤクザと対比することで、日本の社会を皮肉っているのか。まあ、ラストは北野監督の美学かなあ。

タグ:北野武
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幣舞橋の夕日 [雑感]

出張で道東の釧路へ行った。「世界三大夕日」の一つといわれる幣舞橋(ぬさまえばし)から夕日を眺めた。

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午後4時半ごろから日没ショー。水平線近くには雲がかかっていたが、切れ間から赤い太陽が顔を出し、釧路川の水面には緋色の光の道ができた。日没地点と川の流れがちょうど同じ方向になるところがみそ。世界三大夕日の残り二つは、インドネシア・バリ島と、フィリピン・マニラとか。


両岸には夜の漁に備えるサンマ漁船が接岸。この日は大型客船も停泊中で、時折「ボーッ」という汽笛を鳴らし、港町の雰囲気を盛り上げた。橋の上は内外の観光客でなかなかのにぎわい。恋人と二人で見る夕日とはいかなかったが、十分ロマンティックな気持ちにしてくれました。

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わたしを離さないで [読書日記]

ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの代表作「Never Let Me Go」。長崎がルーツとはいえ、英語で書かれた作品、翻訳がどうかなと危惧して読んだが、杞憂だった。どこかの新聞報道ではSFにジャンル分けされていたが、あくまで設定、枠組みがそうであるだけ。深い哀しみ、人生、運命というものについての重い思索を呼び起こしてくれる作品だ。


昨年あたりに綾瀬はるかの主演でテレビドラマになったらしいが、まったく関心のらち外だった。何の先入観もなく読んだのはよかった。英国の作家といえば、シェイクスピアやジェフリー・アーチャーなどが思い浮かぶが、やはり宗教的背景や文化の違いを理解していないと、分かりづらい表現にたびたびぶつかる。しかし、このイシグロ作品にはそうした障害がない。非英語圏の人にも十分理解でき、訴えるべき内容を含んでいる。「世界文学」といわれる所以であろう。


日本人として生まれたイシグロは、英国籍を取得したとはいえ、あくまでマイノリティであり、作品にも人種差別に通じる排他的感情が描かれる。クローンをはじめとする先進科学への懐疑、神と人間というテーマも包含している。読む人によって様々な解釈ができるし、自分の問題として捉えることができる。懐の深い文学作品だと思った。


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: カズオ・イシグロ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/08/22
  • メディア: 文庫

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日本民藝館 [アート]

駒場の日本民藝館を訪ねた。日本近代文学館に行ったのをSNSにあげたら、近くにある日本民藝館もいいよ、と友人が教えてくれた。


パンフレットによると、「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す「民藝運動」の拠点として、思想家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)が企画。建物も柳が設計したという。

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日本人が愛した英国の椅子、ウィンザーチェアの展覧会をやっていたが、ゴッホが使った椅子がしれっと展示されていたりした。館の方針で、説明書きは極力少なくしているそうで、それは「知識で物を見るのではなく、直感の力で見ることが何より肝要である」という柳の見識によるという。確かにその通りだと思う。

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館内には生活の臭いともいうべきものが感じられた。どちらかというと無機質なビル街の美術館とは違い、日用品にしみついた手垢やカビの臭いかもしれない。それが芸術品とは異なる、日用の美なのだろう。

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あゝ、荒野 [シネマ&演劇]

寺山修司の唯一の長編小説の映画化。期待して観に行った。2021年、東京五輪が終わった翌年の設定で、新宿という「ネオンの荒野」であがく若者のせつなく峻烈な青春を描く。岸善幸監督。


菅田将暉、ヤン・イクチュンのダブル主演。「新宿新次」と「バリカン建二」、母の愛に飢えた二人が、孤独から抜け出すためにボクシングに打ち込む。菅田の爆発的な暴力、ヤンの抑圧された感情表現。対照的な演技が光っている。


脇を固める配役もいい。片目役のユースケ・サンタマリアのやさぐれ感と、いい加減っぷり。木村多江の訳ありな母親役もはまっている。


たまたまピカデリー新宿で鑑賞したが、映画の舞台ど真ん中で作品を見るというのはなかなかおつだ。終映後、外に出ると歌舞伎町のネオンが輝いていた。人並みにもまれながら、しばし映画の世界に浸った。後編も見るべし。

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風街ガーデンであひませう2017 [ミュージック]

松本隆作詞活動47周年記念スペシャルとして、恵比寿ガーデンホールであったコンサートに行った。アイドルの歌謡曲からJポップまで、幅広いジャンルに歌詞を提供している松本。昨年だったか、雑誌で特集があり、あらためて活字でその作品群を読み、その言語センスに感心した。


手嶌葵の「風の谷のナウシカ」で開幕。トップバッターで結構緊張していたが、松田聖子の「瑠璃色の地球」をしっとりカバー、澄んだ声が魅力的だった。ハナレグミは、原田真二の「キャンディ」がgood。声質が似てるのかな、完コピだった。クミコは新アルバム「デラシネ」から何曲か。歌詞はともかく、カラオケでは歌えないような現代音楽風の曲はいただけなかった。


トリはレジェンド、斉藤由貴。卒業、初恋、情熱の三部作を歌った。緑色のドレスで最初に初恋、情熱と続けて2曲。MCでは例のとつとつとした語りで会場を沸かせた。ラストに卒業。「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう でももっと哀しい瞬間に涙はとっておく」。不倫騒動があったばかりだが、さすがしたたかな女優だなあ。芸能ニュースでは2カ月ぶり公の場に姿を見せたとかで、緊張の表情だったと伝えていたが、不倫騒動であろうが、50代であろうが、アイドルをみごとに演じきったように見えた。確かに声がかすれたり、出なかったりはしていた。でも、それがステージへの真剣さと受け止められたし、いろんな思いを胸に歌っているんだろうな、と感じた。


コンサートは2時間のスタンディング。ドリンク付きで生ビールを飲んだらトイレに行きたくなって、途中で会場外に出る人も。確かに足腰にこたえた。松本さんが一度くらい舞台に現れてもよかったのでは、と思ったが、まあこれが松本流なのかなあ。

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鞍馬寺 [雑感]

初秋の京都・鞍馬寺に行ってきた。前夜は祇園の花見小路あたりで一杯。翌朝、天気もよかったので、行ったことのない京都の山の方へ行ってみるかと思い立った。

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鞍馬の地は、葉室鱗さんの時代小説「影ぞ恋しき」で、主人公・雨宮蔵人が妻の咲也と居を構えたところ。鞍馬天狗や、源義経の縁の地でもある。京都駅のコインロッカーに荷物を預け、JR奈良線、京阪電車、叡山電鉄を乗り継ぐこと1時間弱、鞍馬駅に着いた。さっそく天狗のジャンボお面がお出迎え。

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鞍馬山はまだ紅葉には早いものの、さわやかな秋晴れとあってハイカーたちもぼちぼち。この日は鞍馬・貴船ハイクが予定されていたが、コース近くで熊が目撃されたとの情報があり、急きょ中止のお知らせが出ていた。

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山門から鞍馬寺に入山。歩いて30分の労を惜しみ、ケーブルカーで本殿へ。本殿前の金剛床は気が集中するパワースポットとして有名で、しばしそこに立ち天を仰いでパワーを浴びた(気になった)。狛犬ではなくて虎が鎮座していて、二匹並んだ土鈴の「福虎」がお守りとして売っていた。その表情が結構かわいくて、900円払ってお土産に。ちなみに虎は毘沙門天のお使いらしい。

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メーンは、霊宝殿にある国宝・毘沙門天像。ガラスケースの向こうではなくて、座敷に飾られていてそばに座ってお参りできる。朝早かったこともあり、行列もなくしばし仏像を独り占め。見学ノートにも書き込み、心安らかなひとときを過ごした。




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投資なんか、おやめなさい [読書日記]

経済ジャーナリスト、荻原博子さんの新書。ゼロ金利が続く中、「貯蓄」より「投資」を、という国の呼びかけに常々不信感を持っていたので、荻原さんの指摘には「なるほど」というものが多かった。


投資信託や保険など、様々な新商品が出ているが、そんなに甘い話が転がっているわけではない、と改めて思った。デフレの中で、実は預金効果は増しているとか、老後の安心と投資を結びつける必要はないとか、多くの人が陥っている思いこみを注意してくれている。


どうしても投資がやってみたいなら「ちょい投資」というが、素人にとっては投資=ギャンブルのようなもの。もし、やるなら「世の中の役に立つ、人のためになる投資を」という提案は、よいかもしれないと納得した。


投資なんか、おやめなさい (新潮新書)

投資なんか、おやめなさい (新潮新書)

  • 作者: 荻原 博子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/14
  • メディア: 新書

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完本 麿赤兒自伝 [読書日記]

「快男児 麿赤兒がゆく」を改題した文庫版。憂き世戯れて候ふ、とのサブタイトルがつく。土方巽や唐十郎、寺山修司らとの出会い、貧乏だけど舞台に情熱を注ぎ、酒を飲んではけんかをした青春の日々。状況劇場の看板役者から舞踏の世界に足を踏み入れ、現在も舞踏集団「大駱駝艦」を率いる麿さんが語る半生記が面白くないわけがない。


それにしてもアングラの熱気あふれる60年代。あの時代に新宿あたりで学生していれば、きっと自分も熱病に冒されていただろう。金稼ぎのため各地のキャバレーで金粉ショーに出演していた話など、昭和ノスタルジーだなあ。巻末の大森立嗣監督、大森南朋との親子対談もなかなか楽しい。


ことし旗揚げから45周年という大駱駝艦の舞台は、昨年世田谷パブリックシアターで初めて観た。異様でエロティックな白塗りの男女が統制のとれた動きで、ストーリーを形作る。バックグランドに流れる音楽に身体をまかせ、踊ることによって、それが意味をなし、世界を表現する。ただ舞踏を観るだけで、果たして意味が分かるだろうか、などという心配は杞憂だった。身体表現だけの舞台だから言葉の国境を越えて、欧米でも理解される。むしろ国外での評判が高いのもうなづける。


完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ (中公文庫)

完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ (中公文庫)

  • 作者: 麿 赤兒
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/08/22
  • メディア: 文庫



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フェアトレードから考える持続可能な社会 [雑感]

フェアトレードのことを知りたくて、帝国ホテルであったパネル討論を聞きに行った。パネリストは国際フェアトレードラベル機構前理事長モリー・ハリス・オルソンさん、サステナビリティ・コンサルタント籾井まりさん。国連のSDGs=持続可能な開発目標を実現する一つの取り組みとして、フェアトレードを考えた。


籾井さんは、木材の消費について、米テイラー社のギターの話から説き起こした。ギターのネックに使われている黒檀が希少な樹木で、切ってみないと黒い材質がどうかが分からない。使えるのは20本に1本程度。貴重な資源が損なわれている。世界の森林は、この10年で面積にして九州2つ分が消失したという。マレーシアのサラクワ州の樹木は合板材の供給基地で日本の合板の4分の1はサラクワ産。東京五輪のメーン会場となる新国立競技場のコンクリート型枠にも使われている。


こうした中で企業に問われているのは、デューデリジェンス。過酷な労働を強いていないか、性的差別がないか、環境への影響はどうかなど、国際的なルール違反がないかを調べた上で調達をする。それが企業の社会的責任になりつつあるという。ギターのテイラー社は、従来の黒ではなくスモーキーエボニーのネックのギターを出すなど、環境配慮の新商品にシフトしているという(余談だか、このギターがなかなか素敵で、欲しいものリストに入れてしまった。でもちょっと高価だなあ)。


日本でもグリーンウッド法ができたのをまったく知らなかった。われわれ消費者としては、エシカル=倫理的な買い物をするという取り組みが一番簡単な方法だが、やはり壁になるのは価格。フェアトレード商品が広がるためには、企業が目先の利益だけでなく、長い目でみた商品戦略、投資戦略を持てるかどうかにかかっているのだろう。


気になったのは、「サステナビリティ」という言葉。「持続可能な」と訳しているが、もう少し軟らかい言葉で表現できないものか。人類が共存共栄できる未来へ、豊かな日本語を使って。エコの「もったいない」のような感じで。そうすれば、こうした取り組みはもっと広がると思う。

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講談社エッセイ賞 [読書日記]

都内であった講談社エッセイ賞の授賞式を覗いた。今年の受賞者は小泉今日子さんと穂村弘さん。二人とも人気者、というかキョンキョンの受賞ということで、会場は例年以上の大賑わい。メディアも大勢詰めかけていた。


小泉さんは受賞あいさつで、20代のころ雑誌にエッセイを連載し、そのときに演出家の久世光彦さんに言われたことを紹介。とても素敵なエッセイだけど、自分のいいところばかり書いている。いつか嫌なこととかも書けるようになれたらいいね。受賞作の「黄色いマンション 黒い猫」は、その久世さんのアドバイスを素直に受け止め、文章にしたのだという。林真理子さんは選評で、小泉さんの文章のセンスのよさを指摘したうえで、自分の存在や過去をこれだけ客観視できる人はそういない。スターと言われる存在であれば、なおさらだと言っている。間近で見た小泉さんは相変わらずおしゃれでカッコよかった。


続いてあいさつした穂村さんは、受賞作の「鳥肌が」は怖いもの見たさという気持ちで書いた。短歌の人らしく言葉について自らの解釈を縷々述べた後、怖い短歌を一首紹介した。


ほんとうはあなたは無呼吸症候群 おしえないまま隣で眠る


たぶん横に寝ているのは夫であろう。そうした情景が怖い。そういった夫婦の関係が怖い。それを新聞に投稿する、しかも名前を公表して。それも怖い。などと穂村さんは話し、会場は爆笑に包まれた。以前から穂村さんの文章が面白くていろんな著作を読んでいる。東海林さだおさんは選評で、感性の角度が面白いと指摘していて、なるほど巧いことを言うと感心した。

黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

  • 作者: 小泉今日子
  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
  • 発売日: 2016/04/15
  • メディア: 単行本
鳥肌が

鳥肌が

  • 作者: 穂村 弘
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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祈りのかたち [アート]

仏教美術入門というサブタイトルがついた展覧会。丸の内の出光美術館に久しぶりに行った。会期がきょうまでということもあり、この美術館にしては多い人出。同館所蔵の仏画、仏像、曼荼羅などを鑑賞した。


阿弥陀如来の教えを守り極楽浄土へ行けるか、それとも地獄か。人々は極楽行きを願い、お経を唱えた。地獄にもいろいろランクがあって、阿鼻叫喚というのは地獄の呼び名であることを知った。阿鼻地獄が最も厳しい地獄らしいが、殺人や窃盗とともに不倫というのも地獄行きの罪に挙げられていた。いくら科学が進歩しようと、人間界でやってること、悩んでいることはあまり変わらないのだなあ、と思った。


この美術館には休憩コーナーがあり、お茶のサービスもある。皇居のお堀を眺めながら、ゆっくりできる。ちょっと涼しくなった日曜の昼、心の洗濯をした。

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リベラルという病 [読書日記]

コンサバか、リベラルか、と問われれば、自分はリベラルと思っていた。だが、この本を読むと、米国のリベラルと日本人の考えるリベラルにはかなり違いがあるというのが分かった。


リベラルという宗教、最高裁判事という権力者、揺らぐ家族像という3つの章で、米国の歴史と現実を解説しているが、一番面白かったのは最初の章。「人種間の平等」という大原則が、性的、性指向的、いかなる意味でも少数者を差別しないポリティカル・コレクトネス(PC)に発展。どんな私的な空間でもわずかなことでも差別に対しては決して許さない「ゼロ・トレランス」が社会を息苦しくさせているのではないか。そうした現状に不満を持つ人がトランプ支持を拡大させた背景にもあるという。


リベラルという語感には自由なイメージがあり、個々の判断を尊重するイメージがあったのだが、実は主張に反するものには不寛容であるというのが意外だった。むしろコンサバの方がある意味で寛容な面があるという。外交を例にとれば、リベラルは「米国の民主主義を世界に広める」を旗印に積極介入する。コンサバは自国の利益が第一という判断。


著者の山口真由さんは東大出の財務官僚で米国で弁護士をしていた。最後の章の日本のリベラルについての分析は、まあそんなものかなという感じ。米国発のニュースを理解するには、いい一冊だと思う。


リベラルという病 (新潮新書)

リベラルという病 (新潮新書)

  • 作者: 山口 真由
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 新書

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顔に降りかかる雨 [読書日記]

桐野夏生さんのデビュー作で、江戸川乱歩賞の受賞作。女性探偵、村野ミロシリーズの第1弾ということで、期待して読んでみた。


でも、まあデビュー作というのは、こんなものなのかなあというのが読後感。不明の親友を捜すミロと相棒の男がいい感じになって、男女の関係になりそうなくだりの唐突感。最後の謎解き場面の冗漫なモノローグなど、未熟な書きぶりが気になった。


女のもろさ、しなやかさを書かせたら、当代随一の桐野さんとはいえ、デビュー時はまだ甘かったんだなあ。講談社文庫の新装版、表紙の女性のイラストに惹かれたが、「ジャケ買い」はするものではない、と反省。


新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)

新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 文庫

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奇跡の星の植物館 [雑感]

初めて淡路島に行った。新幹線新神戸駅からクルマで明石海峡大橋を渡り、40分ほどでホテルに着いた。神戸市街からこんなに近いとは。完全に通勤圏内だ。

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淡路夢舞台にある「奇跡の星の植物館」へ。名前がいいよね。大規模な温室に熱帯の珍しい植物がきれいな花をつけている。植物園というよりガーデニング感覚のフラワーアレンジが魅力。送風機をフル稼働していたが、さすがに真夏はさわやかではない。

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一帯は建築家安藤忠雄さんの設計によって国際会議場やホテル、百段園というステップガーデン、野外劇場などが整備されている。どれも個性的なデザインで、「海の教会」は光の十字架が素敵。こんなところでウエディングを挙げたら、きっと幸せな新婚生活が送れるかもね。

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地元の人のおすすめで、北淡震災記念公園にも行ってきた。阪神淡路大震災のときに現出した「野島断層」が保存されている。天然記念物の断層をすっぽり屋内に保存している。地面のズレ、段差をそのまま見ることができる。すぐ側にあった民家は倒壊せずに今も残っていて、ほんのわずかな位置関係が生死の境を分けたことを物語る。模擬装置で強震度の揺れを実体験し、あらためて地震の恐ろしさを噛みしめた。

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野島断層保存館


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活断層がずれて大地震が起きた

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